閑静なアヴェンティーの丘の上のこの教会は典型的かつ代表的なローマにおける初期キリスト教建築のバジリカ様式の聖堂です。
入り口に飾られている大きな木製扉は5世紀のもので、この見事な木製の扉が今日までよく残されています。糸杉でできたこの大扉には聖書が彫刻によって描写されています。
文字が読めることが当たり前でなかった時代に、人々はこうして図象を理解することで聖書を解釈していきました。
中に入るとまさにがらんどうの空間。身廊と側廊をわけるコリント式の柱の上には彩色による幾何学の装飾があります。
バジリカ様式の聖堂は建築の構造上、中廊の上部にかろうじて明りとり的な窓がとれるだけなので、内部はあまり明るくありません。
一部の墓碑のモザイクがコズマーティ様式となっています。
床の大理石が割れてしまったと思われる箇所を補修してあるところに長い時間を感じます。
後陣に向かって近づいていくと、シンプルなデザインのモザイクの中に墓碑があります。
彫られた文字がゴシック体であることと、コズマーティ様式の大理石装飾から、緻密に描かれた聖人の墓碑は中世のものでることがわかります。
聖堂内部の壁にも中世のゴシック文字があることから、建物の部分の歴史を読み取ることができます。
サンタ・サビーナ聖堂があるこの一帯、アヴェンティーノはローマ7つの丘のひとつにして、とても閑静なエリア。
人は少ないものの、怖い雰囲気はありません。
他にも鍵穴で有名なマルタ騎士団の館やオレンジ公園の名で親しまれる眺望が素晴らしいサヴェッロ公園、バラ園などのんびりとした散策に
おすすめのところがあります。
丘をチルコ・マッシモと反対側に下りれば、雰囲気がまったく異なるローマの台所、下町テスタッチョ。
近くの「真実の口」まで来たなら、ぜひ足を延ばしてみてほしい素敵な散策エリアです。
■ Basilica di Santa Sabina
サンタ・サビーナ聖堂
Piazza Pietro d’Illiria, 1 Roma
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初投稿日: 2010年3月3日