アッピア街道からラティーナ街道が分岐するところに教会がひっそりと建っている。
そのファサードはジャコモ・デッラ・ポルタによるもとされているが、
この教会の起源の詳しいことはわかっていない。中世が好きな人には
おすすめの調度がそろっている。
この教会は8世紀頃、2世紀の古代ローマの浴場の遺跡の上に建てられたとされる。
4世紀にヴァレンティウス皇帝がアフリカのカエサリウスのためにパラティーノの丘に建てた教会が、
後にここに移されたため、パラティーノの名が残っている。
14世紀には慈善宗教団体がこの辺りの巡礼のための巡礼宿としたことがわかっている。
通りをはさんだ向かいに、大理石の柱が、巡礼者のための目印として立てられているのがその名残である。
その後16世紀の修復の際に現在の姿となったようである。
この修復事業の際、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラノ大聖堂の調度品や、
13世紀のコズマーティ様式の調度品が内部にもたらされた。
また、カヴァリエ・ダルピーノのフレスコ画で内部が飾られた。
ローマでは度々見かける、コズマーティ様式の祭壇、説教壇、高台の類いであるが、
この教会のそれは、幾何学模様にさまざまな動物がモザイクで描かれ
興味深い。
また、装飾柱を支える石の彫刻も中世さながらのモチーフで、
中世の芸術に興味がある人にはぜひこの調度品だけでもおすすめしたい。
荒れた中世を過ごしたローマには貴重なものである。
教会の前の通りのほんの一部には、アッピア街道から分岐してはじまった
ラティーナ街道の敷石が残っている。
現在はポルタ・ラティーナ通りであるが、アウレリアヌスの壁ができて、
ラティーナ門ができるまでは、ここはラティーナ街道であった。
この街道は、この先、少しラティーナ街道の名前を残し、
あとは途切れて、地下鉄A線のアルコ・ディ・トラヴェルティーノ駅の近く辺りで、
復活する。通りとしてではなく、一部、墓石の残った公園となっている。
車を気にせず、古代の街道を静かに散歩することができる。
中世つながりで、同じ通りのラティーナ門の近くの
サン・ジョヴァンニ・ア・ポルタ・ラティーナ教会の中世のフレスコ画もあわせてみたい。
また、反対のチルコ・マッシモ方面に歩くと、こちらも中世を味わうことができる、
聖ネレウスとアキレウス教会がある。
■ギャラリー
■サン・チェザーリオ・イン・パラティオ教会ーパラティーノの聖カエサリウス教会
Chiesa di San Cesareo in Palatio
Via di Porta Latina Roma
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