かつてのラ・サピエンツァ、サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会

らせん状に空にのびる尖塔が美しいバロックの教会。ボッロミーニの代表作のひとつです。
かつてローマ大学「ラ・サピエンツァ」があった敷地の中に建っており、大学の礼拝堂として建てられました。
コルソ・リナシメント通りから中庭を介した見えるアプローチに感動を覚えます。 

ベルニーニのよきパトロンである教皇ウルバヌス8世がフランチェスコ・ボッロミーニに依頼して1642-1666年にかけてつくられた大学の礼拝堂。

聖イヴはローマではあまり聞かない聖人ですが、フランスのブルターニュの聖人(1253-1303年)で、司教区のよき支援者である弁護士が守護聖人としてこの名前を望んで聖イヴとなったといわれています。

装飾は豪華にもみえるバロックの装飾ですが、ボッロミーニはレンガのような廉価な素材を上手に活かすことにおいても天才であり、壁面はレンガで曲面を描いているのがわかります。

レンガによるものはサン・フィリッポ・ネーリのオラトリウムにも見ることができます。 

教会の中にはいると、平面が180度回転した2つの正三角形と円の組合せであることがわかります。
ニッチ(壁のくぼみ)は三角形の垂線の延長と円周との交点を中心に円を描いて・・・といったようにバロックの建物に入ると、パズルのように図形の組合せがどう派生していくかを考えながら楽しむことができます。

天井のデザインと対称の床のデザインがボッロミーニによく見られる手法です。
またボッロミーニのデザイン要素であるプットー(ケルビムや天使のこども)があらゆるところに登場します。

ボッロミーニのデザインにより、プットーの装飾は一般にバロックのデザインの特徴となりました。

教会はイタリア統一運動の混乱で1870年には大学の図書館の倉庫とされたため、1926年に公開されるまで閉鎖されていました。
内部を取り囲むなにもないニッチに違和感を覚えます。
ニッチ(壁のくぼみ)には12聖人の像が置かれていたそうですが、決して美しいとはいえるものではなかったらしく、ローマっ子にバブイーノとあだ名されていましたが、700年代に取壊されたとのこと。

そのようないきさつにより、なにもない空のニッチが教会を取り囲んでいるのです。

※この記事の内容は掲載時のものであり、現在と異なる場合があります。
初投稿日: 2010年6月13日 

Sant’Ivo alla Sapienza
サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ教会  
サピエンツァ大学の聖イヴ教会

Corso Rinascimento, 40 – 00186 Roma

ナヴォナ広場から近く。

 

サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ