八百万の神に守られていた古代ローマとは違い、今は一神教の神を信じる街になりました。
ローマには二人の守護聖人がいます。ペテロとパウロです。イタリア語でピエトロとパオロ。
6月29日がローマでは守護聖人の祝日になります。
まずはお二人に簡単に自己紹介をお願いします。
それぞれの名前を戴いた大聖堂がサン・ピエトロ大聖堂とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂です。
それぞれの墓の上に建てられた大聖堂です。
ただし、二人はいつもいっしょ。
サン・ピエトロ大聖堂にも対になってパウロがいます。
サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂にも対になってペテロがいます。
向かって左側にペテロ、右側にパウロがいます。
ペテロは天国の鍵をイエスから渡されたことから、彫刻や絵画の中で、常に鍵を持っていたり、鍵が横に置かれて表現されます。
もしくは、逆十字にかけられているのがペテロです。
一方、パオロは剣もしくは巻物か本の書物を持って表現されます。
パオロはキリストの死後キリスト教に改宗したため、改宗者として表現されます。
落馬の場面が描かれるのは、キリストが現れて驚いているところです。
ローマではカラヴァッジョによるその場面がサンタ・マリア・デル・ポポロ教会で見ることができます。
ペテロはジャニコロの丘の上で逆十字にかけられたとされています。
今ではそこにブラマンテが設計した美しいテンピエットが建っています。
聖人のシンボルを知っていると美術鑑賞がさらに面白くなります。
ペテロは鍵のほかに、魚を獲っていたときにイエスに出会ったことから、魚の網もペテロを表すことがあります。
ペテロもパウロも皇帝ネロの時代にキリスト教迫害のため殉死しました。
ペテロがつながれていたマメルティーノの牢獄はフォロ・ロマーノにあります。
つながれていた鎖はミケランジェロのモーゼの彫刻でも名高い、サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会にあります。
一方でパオロのつながれていた鎖は、サン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂にあります。
ローマにはいったい何対のペテロとパウロがいるのでしょう。
教会自体が3000以上ありますので、考えてみたこともないのですが。
ポポロ広場にあるサンタ・マリア・デル・ポポロ教会のカラヴァッジョの円熟期の作品です。
上が逆十字にかけられるペテロで、下がイエスの姿を見て驚いて馬から落ちるパウロです。
カラヴァッジョの作品はやはり絵画館より教会で見るのがより、カラヴァッジョの作品の素晴らしさがでると思います。