ローマでモザイク鑑賞巡りをするなら、近くのサンタ・プラセーデ教会とローマ四大バジリカの一つサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂とあわせてまわりたい教会の一つです。
現在はフィリピンのローマでの教会になっているのでフィリピン人をよくみかけます。
こじんまりとした教会ですが、その歴史は古く、建物の時代ごとの変容もさまざまです。
最も古いキリスト教会のひとつといえる、4世紀に教会となった建築です。
この教会の近くのサンタ・プラセーデ教会に祭られるプラセーデと
この教会の名前にあるプデンツィアーナは元老院プデンテの娘姉妹です。
ここは紀元2世紀に、その元老院プデンテの家があったとされています。
現在でもこの教会は面する道路より低いところにありますが、
プデンテの家はさらに9m地下にあったといわれています。
その後、浴場になったあと、教皇シリキウスの命で教会が建てられました。
教会の中には古い遺構が見ることができます。
ぱっと見た内観はいたってシンプルですが、よく見ると古い遺構が見ることができて興味深いです。
正面のアーチのモザイクは4世紀のもの。
4世紀にさかのぼる天井のアーチを彩るモザイクは、使徒たちがローマ時代の衣装、
トーガを身にまとった形で描かれています。
次はこの教会の構造の変遷をのぞいてみます。
当初はバジリカ建築だったことがうかがえます。
上部の窓から採光していて、天井もおそらく平らかもしくは小屋組トラスの組まれた
勾配の天井であったのでしょう。
後陣の後ろには半円のアーチの歩廊があります。
そこには、古い壁画や彫刻など、教会になる前のものと推測されるものが点在しています。
状態はあまりよい感じでないのが残念です。
青海波のような残された壁の装飾の一部。
埋められていますが、地下に行くことができそうな、らせん状の階段。
まだ他にも建物の変遷を物語るものは見つかりそうなので、
謎解きが好きな方はぜひ、ゆっくり廻ってみて下さい。
次は、ひっそりした空間に存在している大物建築家の作品を紹介します。
ひっそりとした教会の中に鮮やかな大理石の小礼拝堂。
ローマのルネッサンス期に活躍した建築家、カルロ・マデルノの作品です。
カルロ・マデルノといえばサン・ピエトロ大聖堂のファサード、
いわばサン・ピエトロ大聖堂の顔を手がけた建築家です。
他にも、サンタンドレア・ヴァッレ教会など、スイスで生まれ、ローマで大活躍した建築家です。
現在は、サン・ジョヴァンニ・デイ・フィオレンティーニ教会にボッロミーニと共に眠っています。
ファサードは17世紀に大幅改修されたときのものです。
前庭もシンメトリーの階段からのアプローチがなんとも素敵です。
モザイクだけでなく、一つの建物で見る、ローマの長い歴史をこじんまりとした教会で感じてみて下さい。
■ サンタ・プデンツィアーナ教会
Santa Pudenziana
メトロA線/B線 Termini駅、 B線 Cavuor
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂のすぐ近くです。
初期キリスト教時代、モザイクに興味がある方は、そちらとあわせて回ってみてください。