映画「ローマの休日」ですっかり有名になったBocca della Verita’こと真実の口の方がすっかり有名にになってしまったかもしれない教会です。
ともすれば、真実の口に手を入れて写真を撮ってそのまま踵を返してしまいそうな場所かもしれません。
そんなサンタ・マリア・イン・コスメディン教会ですが、その歴史は古く、建立は6世紀まで遡ります。
古代ローマ時代の食料市場の跡に建てられました。
今ではすっかり真実の口の写真撮影の順番待ちの場となっているポルティコとロマネスクの鐘楼は12世紀に造られています。
真実の口は教会に入る前のポルティコ(柱廊)の左側に。
この行列は少ないほうかもしれなず、この人だかりの奥に真実の口が。
教会の中に入ってみると、床は一面コズマーティ様式の美しい大理石のモザイクで覆われています。
コズマーティはモザイクの技術に長けていたこの時代の一族の名前に由来し、
床のモザイクのみならず、燭台、玉座、祭壇の装飾、扉の枠にはめ込む大理石の象嵌のとても美しい数々を生み出してきました。
コズマーティ様式の大理石の象嵌細工はこの教会だけではなく、同じ時代の教会によく見られます。
細やかな技術もさることながら、大理石の色の豊富さにも驚かされます。
天井は貴重な木造の小屋組のトラス構造が見えており、被災した教会は屋根の部分が焼失されて新しくなってしまうことが多く、残っているのは貴重。
正面に向かって左には聖ヴァレンティーノの遺骸があります。
じっと見られていると思うと足がすくみますが、ヴァレンティーノはヴァレンタインのイタリア語。日本でもおなじみの聖人です。
12世紀に増築された鐘楼が、教会内部に食い込んでいる。
入り口右手にあるお土産売り場の壁には3世紀に遡る美しいモザイクが残されています。
「真実の口」で有名な教会だけあり、比較的品揃えの多いお土産売り場です。
ところで「真実の口」の正体とは。
いくつかある説の中でもっとも有力な説はマンホールの蓋。
フォロ・ロマーノの排水を担った排水溝のクロアカ・マクシマがテヴェレ川に注ぐ排水口の蓋とされています。
その排水口はこの教会の近くの排水口とされ、この「真実の口」自体もこの近辺で発見されています。
エットーレ・ロースラー・フランツの絵のポストカードより。
河岸工事前のテヴェレ川。右にクロアカ・マクシマの排水口が見られます。
鐘楼は真実の口のあるサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の鐘楼。
教会前広場の神殿もみられます。
うそ発見器のように手を入れて真実を確かめるというのは、中世の時代からあった言い伝えらしく、
妻の貞節を夫が調べたとか、そういった説があります。
この「真実の口」を世界中に広めたのはいうまでもなく、映画「ローマの休日」でしょう。
ローマの街角には映画の舞台となったところにこのように看板が立っていますが、お気に入りの映画のロケ地が見つかりますように。
■サンタ・マリア・イン・コスメディン教会
Chiesa di Santa Maria in Cosmedin
「真実の口」はポルティコの左側にある
Piazza della Bocca della Verità, 18 Roma
かなりの路線のバスがとまる。
メトロの最寄駅はB線(青)のCirco Massimo チルコ・マッシモ駅
競技場の長い辺を歩くことになる。
ヴェネツィア広場から歩いても寄り道しないで、7分ほど。
テヴェレ川を渡ればトラステヴェレ地区へ、少し足を延ばせばアヴェンティーの丘にも着く。
古代ローマ時代の競技場跡、キルクス・マキシマムことチルコ・マッシモはすぐそこ。
バラバラのバスの停留所
市内観光バスも停まる(赤と青の掲示板)
緑がATACことローマの市バスの停留所案内
※この記事の内容は掲載時のものであり、現在と異なる場合があります。
初投稿日: 2010年3月2日