古代ローマ遺跡がふんだんにリサイクルされた中世の住居建築。レンガ造りに施された大理石の装飾の数々。
ここから程遠くないかつての古代ローマの中心地から集められたものたち。
どの辺りのパーツかな、などと想像しながら眺めてみるのも楽しそうです。ジグソーパズルのようでもあります。

装飾のみならず、本体自体、もとはテヴェレ川にかかっていた橋の通行料をとっていたという物見櫓から住宅へ転身した建物になります。
今では橋の役目を果たしていない、「Ponte Rotto(ポンテ・ロット)=壊れた橋」はテヴェレ川に浮かぶティベリーナ島の下流にあるが、その橋の物見櫓でした。
地図にポンテ・ロットは出ていませんが、オンラインサービスの、
地図と航空写真を重ね合わせられるもので見てみると、ポンテ・ロットの延長上にこの建物があるのがわかります。
ローマはここだけではなく、「リサイクル建築」にあふれています。
ナヴォナ広場の近くの聖アゴスティーノ教会のファサードはコロッセオから切り出された大理石、トラバーチンでできており、柱などはとくにリサイクル率が高く、いろいろなところに再利用されています。
教会に入って、ふぞろいの列柱をみかけたら、それはおそらく古代ローマの遺跡から持ち運ばれたものと考えてよいようです。
合理性の追求もさることながら、中世以降のローマという街の懐事情の厳しさも伝えています。
「真実の口」を目指して見過ごしそうな建造物ですが、古代、中世のローマの生き証人であるので、ちょっと目をやってみてください。
ローマはかなり荒れた時代の中世を過ごしたので中世の邸宅跡が見られるのは貴重です。
19世紀の画家、エットーレ・ロースラー・フランツがこの家を描いています。
「コーラ・ディ・リエンツォの家とされている家」
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初投稿日: 2010年3月2日