外から一見したところ聖堂には見えないサンティ・クワットロ・コロナーティ聖堂です。鐘楼も、ローマでよく見かけるロマネスクの鐘楼とは異なり物見櫓のよう。 その強固な外観は要塞のようです。それもそのはず、ローマの街がゴート族やノルマン人に侵攻されていた中世の時代に、要塞と化し、そのまま今日までその姿を伝えています。
入り口にかかっている聖堂の名が彫られた石の銘板で、ようやく、ここがサンティ・クワットロ・コロナーティ聖堂であることがわかるります。
要塞化したがゆえに、あまり開放感のある聖堂ではありませんが、好きなお散歩コースのひとつです。
閉塞感のある中庭を抜けると聖堂の入り口が見えてきます。
内部は薄暗く、こじんまりとしてきらびやかでもなく、それがゆえにか、静寂な空間がなかなかよいです。
通り抜けた中庭には古代ローマ遺跡の柱が再利用されており、そのふぞろいな感じが、中世ローマが経済的に苦しんでいたのと、度重なる侵攻から、急いで聖堂をも要塞化させたことを想像させます。
内部の床に目をやると、ラテンの文字がところどころにのぞく、ふぞろいなモザイクとなっており、古代ローマ時代の遺跡から持ってこられたことがうかがえます。
この箇所のみをみると突貫工事の継ぎ接ぎの教会のような印象が残りますが、この教会には美しい中世の回廊(キオストロ)が残されています。
コズマーティ様式の象嵌細工を鑑賞することが出来ます。
また、ローマの街をキリスト教の街にしたといってもよい、皇帝コンスタンティヌスが時の教皇シルヴェストロにひざまずく場面を描いたモザイクをバルバラ礼拝堂で見ることが出来ます。
きらびやかなビザンチン美術の印象のモザイクとはまた違った印象で、貴重なモザイクです。
また、かつて教皇庁があったサン・ジョヴァンニ・イン・ラテラノ大聖堂からも近いということもあり、およそ4世紀にわたって、教皇の住居でもありました。
この教会も含めて、この界隈には古代ローマ帝国の末期にキリスト教が人々の間で広まっていったことを伝える遺跡が他にもあります。
この時代にローマ帝国がキリスト教を公認したことは、後世のヨーロッパの宗教、文化の面で少なからず影響を及ぼしていることであると思います。
その転換期を遺跡として伝えるこのエリアのお散歩、おすすめです。
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Santi Quattro Coronati
サンティ・クワットロ・コロナーティ聖堂
Via dei Strada Statale 4 00184 Roma