古代ローマの中心やコロッセオにも近い、チェリオの丘からサン・ジョヴァンニ界隈はそぞろ歩きが楽しいエリアです。
お店やカフェがたくさんあるわけではないが、古代ローマの中心から近いこともあり、
古代ローマ時代から次の時代への移り変わりを物語る教会、遺跡があります。
このエリアの教会は、どれも時代の変遷の中で重要でとても興味深いものばかりで、おすすめしたいものばかり。

その中のひとつ、サン・クレメンテ教会は二つの道、Via LabicanaとVia San Giovanni in Lateranoにはさまれたところにあります。
入り口はどちらにもありますが、中庭からファサード(正面)のアプローチがとても素敵なので、
Piazza di San Clemente クレメンテ広場、と広場とはいうもののほとんど道路のようなところから入ることをおすすめします。
道路面より少し下がったところにあります。
ファサードがバロック期に手が加えられましたが、ほとんどは12世紀の中世のものが残っています。
床に見られる一面のコズマーティ様式のモザイクがそれを物語っています。
後陣の輝かしいモザイクも見事です。
また、カテリーナ小礼拝堂には貴重なマゾリーノによるフレスコ画が残っています。
こちらは撮影が禁止されているので写真はありません。
モザイク、フレスコ画とこれだけでも見応えが十分ありますが、地下にもまだまだ興味深いものがあります。
地下は見学が有料。
暗く広い地下には水の流れる音が響きます。古代ローマ時代の大排水溝、クロアカ・マクシマです。
現在は、クロアカ・マクシマが一般公開されていないので、ぜひこちらで。
さらに地下にはミトラ教の神殿が眠っています。祭壇もきちんと残っています。
ミトラ教は現在のシリア方面からここローマにもたらされた信仰。
古代ローマのキリスト教の迫害の歴史はむごいものでしたが、方々から奴隷やローマ市民権を得た属州の民のために、他信仰に寛容であったローマで信仰するものを増やした信仰のひとつがミトラ教です。
信ずる対象が違っていても、ここは常に信仰の場所でありました。
ローマの地下の遺跡探検を比較的自由に回ることができるところはあまり他にはありません。
ローマの長い歴史を物語る建造物として、ぜひおすすめしたいのがこちらの教会です。
地下で人の声が遠くなると、雫の音が響き渡ってちょっと不安になりますが。




サン・クレメンテ教会
Chiesa San Clemete

Via Labicana 95, Piazza di San Clemente(おすすめの入り口はこちら)
メトロB Colosseo(コロッセオ)駅
もしくは
バス 117番、85、87番など Via Labicana(ラビカーナ通り)