サント・ステファノロトンド教会やサンタ・マリア・イン・ドムニカ教会の方から歩いてくると、建物に挟まれた門があります。紀元10年に執政官カイウス・ユリウス・シラヌスとコルネリウス・ドラベッラによりつくられた門で
ドラベッラのアーチと呼ばれています。

3世紀までローマの街を囲んでいたセルウィウスの壁の門とされています。
後に皇帝ネロがクラウディウス水道をパラティーノの丘への拡張工事を行った時に支えとしたといわれています。
よく見てみると壁と水道橋の遺跡が交差しているような形になっているのがわかります。
道が交差する広場の端に建っており、奥に続く道を広場から見ているとなんとなくくぐりたくなります。
ということで門をくぐって歩いていくと、連続するアーチが現れます。
幾重にも重なるアーチは、中世にローマが度重なる侵攻を受けた時に防御のために設けられたものです。
通りの端のアーチひとつのみはノルマン人に侵攻された時のもの。
ひとつだけ色が違うのですぐわかるでしょう。
奥に重なるアーチはゴート族が侵攻した時のものだといいます。
アーチの下にひっそりと入口のある古代ローマの家の学芸員が説明してくれました。
アーチの下をくぐる通りの名はパラティーノの丘とチェリオの丘をつなぐ「スカウルスの小さな丘」。
スカウルスの小さな丘通りは、アッピア街道などのインフラストラクチュアとしての街道ではありませんが、古代から残る道です。
古代は共和制ローマ時代の執政官、マルクス・アエミリウス・スカウルスに由来します。
この続いた一本の道の両脇には、長くそして常に変化してきたローマの歴史を断片的に語る遺跡が並んでいます。細く、道行く人も多くはありませんが、とても興味深い道です。通り抜けてしまうにはもったいないです。
古代ローマのドムスの上に建てられた教会、サン・ジョヴァンニ・エ・パオロ教会もこの通りにあります。
連続したアーチをくぐりぬけるとその向こうはパラティーノの丘です。

ドラベッラのアーチと古代の道、クリウス・スカウリ通り
Arco di Dolabella e Via Clivus Scauri
Via di San Paolo della Croce
Via Clivus Scauri