この教会は枢機卿ルドヴィーコ・ルドヴィージがイエズス会創設者であるイニャツィオ・ロヨラ、日本ではイグナチオ耳なれた呼び方ですね、を讃えて創設したコレッジョ・ロマーノ(寄宿舎)附属の教会です。イエズス会の教会です。
教会内部はバロック様式の建築、絵画、彫刻が融合した見事な空間になっています。
教会に入るとまず天井のフレスコ画に圧倒されます。イエスに導かれるイニャツィオとそれを受けて四方に放たれる光線の先には四大陸、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアが擬人化されて描かれています。
入り口からまっすぐ進むと床に一つ目の黄色い円が見つかります。
ここに立って天井を仰ぐと、建築の柱から絵画で描かれた柱へ、さらに天空すなわち天国へつながっていくようにみえる視覚のトリックを感じることができます。
さらに進んで平面的に身廊と翼廊が交差する手前にもうひとつ黄色い円があります。そこから見上げると今度はクーポラ(丸天井)があります。
実はこれはトロンプルイユ(だまし絵)で、実際はフラットな天井でしかありません。
教会建設中に金銭の工面に苦渋し、クーポラを立体的につくらずに遠近法を用いたトロンプルイユ、だまし絵で、しかもブロンズで装飾されたようにしたのです。
また、サンピエトロ寺院のベルニーニによるバルダッキーノの影響を強く受けている祭壇が見られます。
教会の前はロココ様式のイニャツィオ広場が広がっており、教会と広場と、そこに面する建物が一体となって広場を形成しているのがわかります。
こちらの広場はぜひ建物のそばに立って、建物と切り取られた空の形を楽しんでみてください。
※この記事の内容は掲載時のものであり、現在と異なる場合があります。
初投稿日: 2010年5月28日



サンティニャツィオ教会 聖イグナチオ教会
La Chiesa di Sant’Ignazio
パンテオンから歩いて行くことができます。