ローマの下町の台所と呼ばれるテスタッチョにある高さ36メートルのこの小さな「山」は、自然のものではなく、人工的なものである。
18世紀に考古学が盛んになり、この山が陶片でできた山であることがわかった。このエリアの名前であるテスタッチョはラテン語の、mons Testaceus(陶片の山)から来ている。
この辺りから近いテヴェレ川には古代ローマが栄えていた紀元前140年から西暦250年くらいまで、大きな船着場があり、食料などあらゆるものがテヴェレ川を上ってローマの街に運ばれてきた。ワインやオリーブオイルなどを運んだ、腰に手をあてたような形のアンフォラと呼ばれるテラコッタの壷の破片がこの36メートルの小さな丘を作ったわけである。
道から見上げても破片らしきものが、まるでレンガを積み上げたかのようにびっしりと積み重なっているのがわかる。
この山を囲むように、クラブなどが並んでおり、夜になると若者でにぎやかになる。
また夕方になると、どこからともなく馬車が次々と到着し、どうやら観光スポットの馬車の馬達は、夜をこのあたりで過ごしているようだ。
■ テスタッチョの丘
Monte Testaccio
Via Galvani – Roma