プレスティーナ通りとカシリーナ通りに挟まれたアレッサンドリーノ地区にある2000年代に建設された白の印象が強い教会は、2000年のジュビレオ聖年に教皇ヨハネ・パオロ2世の依頼により誕生した神の慈悲教会です。2003年に完成しました。
設計はアメリカの建築家リチャード・マイヤーです。近い時期にアウグストゥスの平和の祭壇のアラ・パキス博物館のデザインもしています。
壁を成す三層の帆が世紀を表し、帆一枚は一世紀を表し2000年代の次の世紀まで続く意味を込めて3枚の帆が重なっています。天井と壁二面はガラスのカーテンウォールで構成されています。ガラスが見えない面は重量感のある建物に感じます。
この教会の他、マイヤーが設計したアラ・パキス博物館も眩いほどの白壁で構成されており、光触媒塗装を利用した自浄効果のある壁となっています。メンテナンスフリーとまではいかなくてもメンテナンスコストを削減するとされていて、完成当初はこちらが宣伝文句となっておりましたが、こちらの教会も博物館も白すぎると言われています。時間が経過した今はその風評もあまり聞こえてはこないようです。
リチャード・マイヤーはマルセル・ブロイヤーの元で実務を積んだモダニズム家建築を代表する建築家のひとりで、白を基調とした建築が特徴の建築家なので白の建物が建つことは想像範囲内であったのではないでしょうか。残念ながら#MeToo運動の流れでハラスメントを訴えられ業務停止処分を受けていた過去があります。発覚したのはこの教会の計画の後のことではありますが、なんとも後味の悪い話です。




写真提供:アレッサンドロ・ネッシ Alessandro Nesci https://www.artecampagnaromana.com/
神の慈悲教会
Chiesa di Dio Padre Misericordioso
Piazza Largo Terzo Millennio, 8, Via Francesco Tovaglieri, 194, Roma
