優美なスペイン階段を上って、スペイン階段から見下ろせるローマを眺めて街を満喫したあと、階段の上のトリニタ・ディ・モンティ教会の前を通る道を行くと、少々風変わりな建物に出会います。
システィーナ通りとグレゴリアーナ通りが出会う叉路にはさまれた、細めの建物はマニエリズム様式の変わった建物。
入口のキャノピーのあたりが、バロックに見られるような要素がありますが、この建物がルネッサンス、マニエリズム期の画家でもあり建築家でもあるフェデリーコ・ツッカリによって建てられた時は、まだベルニーニもボッロミーニも活躍をはじめていない頃でした。
1500年代の終わりにここの土地を手に入れたツッカリが、芸術家たちのための家として建てたものです。
グレゴリアーナ通りを行くと、飲み込まれそうな扉と窓に出会います。
ヴィテルボ近郊にあるボマルツォにある、怪物の森から影響を受けていることは想像に難くありません。
その後、ツッカリ家の手を離れてからも、この建物はグランドツアーの際の旅行者の受け入れ場所であったり、
ドイツのヘルツ図書館であったりと、つねに芸術に関わってきた場所なのです。


ツッカリの家
Palazetto di Zuccari Casa Zuccari
Via Gregoriana,30 Roma