
日本でもなじみあるイエズス会のローマにおける最初の教会であるジェズ教会。
バロック期に建てられたこの教会は、
この時代に活躍した芸術家たちの共演の場となっています。
この教会の建立の立役者であるイグナチオ・ロヨラやフランシスコ・ザビエルなどは
日本でも聞き覚えのある人物です。

シンプルな印象のファサードの教会に入ると
幻想的な天井に覆われた大空間が広がり、思わず息をのみます。
金色に装飾された天井にフレスコ画が描かれた天井は、よくみていると立体的。
まるで舞台装置をみているようで、ついつい見入ってしまいますが
あまり見上げていても、かつてのスタンダールのようにめまいを起こしてしまうので
その時は、姿見が天井を映し出してくれているので、そちらで見ることをおすすめします
立体的に見えるのには仕掛けがありまして、金色の装飾のところに
天井画の雲の影をつけたり、
白い漆喰のレリーフの天使を配置してみたりすることで
立体感をだしているのです。
金色の装飾もどこからどこまでがレリーフで、
どこから描かれているだけなのか・・・下から見上げているだけではわかりません。
ただただ息をのんで天井にひき込まれて下から見上げているだけです
この教会が建立されたころ、日本でもキリスト教の歴史が始まります。
残念ながらキリスト教徒にとっては、迫害の歴史ともなってしまうのですが、天正少年使節団が送られたのもこの頃。
ただし、天井画は教会建立から1世紀ほど経ってからのものなので、少年たちはこの天井は見ていなかったでしょう。
ローマカトリック教会の堕落によって起こった宗教改革において、汚名挽回のために、ローマ教会を正すべく創設されたイエズス会のローマの最初の教会が、こちらのジェズ教会なのです。
礼拝堂には私たちにも聞き覚えのある、イグナチオ・ロヨラとフランシスコ・ザビエルの礼拝堂があります。
ロヨラはそこで眠っています。
おなじくイエズス会の聖イニャツィオ教会が
やはり美しい天井とトリックのドーム天井で迎えてくれます。
ちょっとした仕掛けの助けで、教会を魅力的なものにしようとして人びとを惹きつけようとしていたのがうかがえます。
また、ローマでよくみかけるバジリカ教会は、教会に入ると左右に柱が並び、左右の側廊と中央の広い身廊という平面構成の教会建築が多い中、ここは、列柱が並んでいないので、教会に入った瞬間に古くからある教会とはちょっと違う空間、といった感じがします。
正面祭壇左にはベルニーニの彫刻があり、バロック勢ぞろい。








ジェズ教会
Chiesa del Gesu’
Piazza del Gesu’ ,Roma
ヴェネツィア広場とラルゴ・アルジェンティーナの間に位置する。
観光に使う市バスはほとんど通る場所なので、ヴェネツィア広場まで行けば
歩いて5分ほど。
ヴェネツィア広場まではテルミニ駅より、
40、64、など。
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